しかし、雨の匂いはしない。草と、土の力強い夏の匂いばかりが風に乗って渡ってくる。
夏は照り返しがひどく汗まみれになり、冬は路面が凍りとなかなか気候に対しては厳しい環境をつくりだしてくれる橋だったが、過ぎ去ってみると折々に川辺の景色を楽しませてくれていたことに気づく。今は、森や近隣の民家の花で季節を知る。どちらかに甲乙つけるような話ではないのだが、なんとなく感傷的になる。
銀行に行った後は電車を乗り継いで帰るつもりが、そんなことに思いを馳せている途中で傘を会社に忘れたことに気がついたものだから仕方なく来た道を引き返した。雨の匂いはせず、結局、雨は降らなかった。

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