2012年6月28日木曜日

夏草、夕立、土の匂い

引っ越してからは多摩川を歩いて渡ることはなくなったのが、今日は駅前の銀行に用事があってぶらりと橋を渡ることになった。夕暮れ時だが、あいにく重い雲がかかっていて夕焼けは望めそうにない。そういえば天気予報でも雨が降るかもしれないというようなことが書かれていた。

しかし、雨の匂いはしない。草と、土の力強い夏の匂いばかりが風に乗って渡ってくる。

夏は照り返しがひどく汗まみれになり、冬は路面が凍りとなかなか気候に対しては厳しい環境をつくりだしてくれる橋だったが、過ぎ去ってみると折々に川辺の景色を楽しませてくれていたことに気づく。今は、森や近隣の民家の花で季節を知る。どちらかに甲乙つけるような話ではないのだが、なんとなく感傷的になる。

銀行に行った後は電車を乗り継いで帰るつもりが、そんなことに思いを馳せている途中で傘を会社に忘れたことに気がついたものだから仕方なく来た道を引き返した。雨の匂いはせず、結局、雨は降らなかった。


2012年6月27日水曜日

書く、話す

春嵐氏(と、今後彼のことをそう呼ぶことにしよう)と出入口での予想外のニアミスで、いってらっしゃいの言葉もなんだか詰まって出てしまった。通り過ぎた後に振り返った気配があったような気がしながら、そのまま職場に入った。

話す言葉が近年どうにもうまく出てこない。噛む、他のことを挟んでしまって話の輪郭がぼやける。雑談する時間が来ると脳内は話題をのみこみ、更に提供できるものがないか探すのに必死になる。昔はここまで苦手意識はなかったような気がするのだが、もう勤め始めて6年も経つのでだんだんそれ以前の記憶は曖昧になってきている。

同じ作業をしているはずなのに、書いている分には比較的するりと言葉が出る。言葉も選べる。書き直せる。書きたいことを決めて、つないで、書いていける。2000字ぐらいなら、割と楽に書いてしまえる。このあたりはよく本を読ませてくれた祖父達や母に、あるいは(読んでいて面白いかは別として)文章を書くということに抵抗のない父に感謝せねばならないのかもしれない。

書くよりも話すほうが、言葉の消費され方やその勢いからして貯金も反射神経も要求されるような気がする。論理を崩さない緻密さと意志の強さも。文章のように書きなおしができないので冗長になってからでは遅いのだ。
個人的にはどう考えても話すほうが難しいのだが、書くほうが難しいという人に一度どう難しいのかということを聞いてみたい。

あとは平常心であろう。週も半分きて、少しそわそわし始めているところのニアミスであった。要するに動揺したのである。

もう少し落ち着いた、腰の据わった人間になりたい。

2012年6月26日火曜日

最期まで美しく、簡素に

事故証明を取りに行った帰り、多磨霊園をぶらりと散歩した。今日は晴れて日差しは強いが、木陰に入るといい風が吹いており大変気持ちがいい。
初めて訪れたのだが、その名前を耳に挟む程度には大きな霊園である。縦に突っ切っても1km以上あるところに、少し遠回りをしてしまったのでおそらく駅まで都合3kmぐらいは歩いたはずだ。

あまり中に入り込んで眠る人々の邪魔をする趣味はないので、大きくブロック分けしている主要な通り沿いを歩く。そういった通り沿いの区画はいい区画なのか、敷地も縦5m横3mぐらいと大きめで、立派な墓石が建っていることが多かった。大学病院の慰霊碑等も見受けられ、時折頭を下げつつも、ちょっとした「お宅探訪」気分で軒先というか、墓前を失礼する。

見上げるような大きい碑あり、閉ざされた門扉あり、敷地の中に茂る木々ありと個性あふれる墓の中で、ひときわ心惹かれたのが広い敷地の中にただ何かしら言葉が墨書きされた、角材サイズの四角柱のみぽつりと立っている墓所であった。他には何もない。放置されているのか、少し草が生えていた。

いつ死ぬかはわからないけれど、延々病と付き合って死ぬよりもあっさり死んだほうが幸せだと思うし、そういったさっぱりとした終わり方をするのであればその後のことも簡素にしてほしい。漠然と、そんな風に思っている私は、墓所をこういう形式にしようと決めた人の趣味を讃えたいと思った。石も土地も無限ではないのだし、こういうのもありなんじゃないだろうか。


でもまあ、先にあれだ。簡素に、美に至るまでに、懸命に生きなければなるまい。そう思いながら、多磨霊園を後にした。


2012年6月25日月曜日

「鹿のおっぱい」

こんばんは。ぶらり旅大好き、タニモトです

昨日もちらりと書いた通り、牡蠣食いたい!と今月の9日10日と広島に旅立って参りました。初日から牡蠣!もみま(もみじまんじゅうの略)!お好み焼き!!という合わせ技で満腹満足な旅。4月に青山の外れでレバ刺しを食しながら酔いどれた勢いで一緒に行く事を決めて下さったえこさんことマツナガエイコさんにも深く深く感謝であります(えこさん、写真はもうちょっと待って…)。

さて、旅行というと浮かれ気分で余計なものを買ってしまいがちですが、今回は割と上手に買い物できたと自負しております。もみじまんじゅう、宮島ビール、ギャラリーROUTOさんで購入した前田彰子さんの硝子の器。おやつに、おみやげに、日常にと、それぞれ大活躍してくれました。

ところがひとり、半月近くたった今も売れ残っていたかわいそうな子がひとつ。

その名も、「鹿のおっぱい」。写真はこちら。

2012年6月24日日曜日

初夏の再開、ご挨拶

ご無沙汰しておりました。前回の更新が4月の中頃、2ヶ月と10日ほどの空白期間。ぽっかり宙に浮く程度の諸々はありました。

まず、心的春の嵐は過ぎ去り、新緑の中突風がありつつも、なんとなくこういうものなのかもしれないという感じです。この穏やかさが倦怠に変わらぬようにだけは気を払いつつ…まあならんか。穏やかとも言いがたい、緩急ついた金曜日の会合はすっかり一週間の楽しみとなりました。今後もしばらくこの心模様は続くでしょう。

次に仕事。時折遅くまで残業しながら、頑張っています。頑張っていますが、芳しくはない。工程管理は難しい、とまだ問題点が漠然としてしまっているので、森に分け入り気に登り枝を払い、といった作業が必要なので、次の土日こそはちょっと何とかしようかと。

今まで何とかできなかったのは計画性の無さに起因していて、見切り発車の引越しに春の嵐に吹かれるままの新緑の箱根ぶらり旅、「牡蠣食いたい!」と企画した広島うまいもの紀行と隔週で大イベントが、そしてその間を埋めるように定例の都内ぶらり会。
ようやくたどり着いたこの週末、なんだか久々にひとりでゆっくりしているなあ、と思ってちょっとカレンダーを振り返ってみたら、まさに前回ブログを更新した当たりから土日出ずっぱりでありました。


それに気づかないぐらい遊び倒して、振り返りの時間を持たなかったのが敗因です。よく遊びよく働けとは言いますが、遊びすぎも良くないものであることよとしみじみした週末でした。


しみじみついでにちょっときちんと書き物の時間をとろう、というわけで、本日よりまたつらつらと書き連ねてまいります。どうぞよしなに。