引っ越して、久しぶりに電車に毎日乗るようになった。住んでいるところから職場までは下り電車なので、のどかなものである。コーヒーを持ち込み、最初のうちはぼんやり毎日音楽を聞いて通勤していた。本を読めばいいということに気づくまで一週間ぐらいかかった。習慣的に読むようになるまで、さらに一週間。すっかり移動中に読むくせがなくなっていてびっくりした。
朝から本を読むというのは、朝からゆっくり聞きたい人の話を聞く、ということに近い。時間は限られているが、嫌いなら読まなければいいし割り込みで仕事が入って遮られることもない。するすると頭に言葉が入るのは快感ですらある。
割と読むのは早い方なのだが、ショーペンハウアーの『幸福について 人生論』は読み始めて一週間は経つがまだ1/5程である。読み応えがあるし、朝から風刺のきいた筆致で何が幸福かを語られるのは結構面白い。くたびれた帰りの脳には向かないけれど…。
電子書籍も考えてみたが、携帯端末の電池の減りや目へのダメージ、そして本の手触りを考えると、やっぱり文庫か新書かな、というところに落ち着いた。コーヒーは相変わらず持っているから、ハードカバーは読むのに苦しいし持ち歩くには少し重い。若い頃は荷物の重さに頓着せずに借りては読む生活を送っていたが、今はどちらかというと身軽さを取るようになった。月日がたったのだな、と思い楽しくなった。
2012年7月3日火曜日
2012年1月13日金曜日
13:人体と工業品を一緒に考えていませんか
もう1年近く、諸般の症状によりに病院にかかっています。月に一度検査と診察があるのですが、誰かしら職場の人から「治りそうなの?」と尋ねられ、わからないと答えると「なんでわからないの?」と呆れられる、そのたびにちょっと苦い気持ちになります。
我々技術職は、誰か人間が設計したものに対して対応する以上、トラブルに対してはつい「必ず原因があって解決できる」と思ってしまいがちですし、実際そうするのが仕事でもあります。しかし人体はそうはいきません。未だ科学の力をもってしても分からないことはたくさんあります。
医者が何もかも治せるし知っていると思うのは大きな間違いです。何もかも知っていればみんな新薬に躍起になりませんし、医療の進歩なんて必要ないわけです。
そして、知っていてもうまくできないことがあるということをよく理解しておくべきです。投薬ミスや処置の間違いなど、身体的に大きな影響のある明らかな医療過誤については一般的な仕事と同様に損害賠償を請求すべきだとは思いますが、根拠のある判断の元行った治療が結果的に効を奏しなかった、あるいは不幸な結果を招いたからといって起訴するのは大きな間違いでしょう。
そこまで「人間の体の仕組みが分からない」ということに対して否定的である風潮があるにも関わらず、本能的にとはいえ子どもをつくることができる。わからないものを作って増やしているのは自分たち自身であることに気づいていない人間って、やっぱりよくわからないし面白いなあ、とふと思った通院の帰り道、そしてあるいは、それに気づいているけど工業品のように扱っているんじゃないかと思って薄ら寒くなった午後11時過ぎでした。
▼今日の写真:館シリーズ、待望の新刊
ふと気がつくと綾辻先生の館シリーズ待望の新刊である『奇面館の殺人』が発売日を過ぎていたので通院はしごの途中で調達しました。インフルエンザ予防接種で2時間半も待たされている間にぐいぐい読了。暗黒館、びっくり館と幻想方向に強く振れていたシリーズですが、久々の本格卍固めとも言うべきロジック具合にしっかり騙され、感服。通称で呼び合うといえば十角館を、マスクというと水車館を思い出し、迷路館で披露・時計館で更にブラッシュアップされた折り紙が意外な所で役に立ち、と、これまでのシリーズを思い出させるモチーフが随所に散りばめられているのもファンとしては悶えました。
その月に出た本を買うなんて久しぶりかも。ものすごーーーく面白かった!
▼あとがき
ちょっと読書ブーム来てるなあ…色々やらないといけないことはあるけれど、折角ある本達をたくさん読みたい…うーん。
2012年1月8日日曜日
8:とっつきにくいものにとっつけた時の嬉しさ
▼今日の写真:はじめてのtheo
theoとは鋭さとポップさが共存する(と個人的には思っている)、メタルフレームが特徴のベルギーの眼鏡フレームブランドです。ずっとずっと憧れつつ、なかなか「コレ!」というフレームに出会えなかったのですが…ついに発見して、購入に至りました。
theoらしいメタルながらも、形は楕円というかけやすさ。それでも縦幅がぐっと狭く、弦の部分もやや下につけたデザインが素敵。そしてとても軽い!
しかし視力がひどく落ちていたため一気に3段階上げとなりました。慣れるまでおうちのみ&慣れてからもしばらくは外歩き時のみの着用になりそうです。
▼今日の感動:昔知った「良い」ものを今経験できる幸せ
いつもいくつか並行して本を読んでいるのですが、今読んでいる一冊に谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』があります。文学部卒業のくせに、恥ずかしながら谷崎作品は一冊も読んだことがありませんでした。どなたかが薦めていらして、それで興味を持ってAmazonのほしい物リストに追加したんだったか、どうだったか…。そこにTwitterのFollowerさんが、クリスマスプレゼントのお返しとしてお年玉的に送ってくださったのでした。
有名な作品なのでちょっと尻込みしていたのですが、読んでみると大変読みやすい。迷いのない文章、だけれども前置きのしっかりした筋立て。建物の描写もシンプルだけれどありありと浮かんできて、さすがとても素敵だなあ、と思って読んでいます。
ふと、とても贅沢な時間を過ごしているように思いました。誰かに強要されるでもなく、読みたいと思った本を経験する幸せ(しかも人に贈ってもらった!)。昔仲違いしたまま転校していった子に大人になってから会いに行ったような、気恥ずかしさと嬉しさもあります。
歴史を学んで名前だけ知っているけれど実際は見たことがないものというものは人生の中でけっこうあると思います。私のように文学もそうですし、あるいは絵画や音楽といったものにもあるでしょう。
もちろん、若い頃からひるまずに何でも経験できれば一番いいのかもしれません。でも、「難しそう」「つまらなさそう」と触れていなかったものが、実は面白かった。この経験が、ちょっと今日は新鮮でとても楽しかったのでした。また何か再会できるかな?
▼あとがき
今日は思いもがけない訃報があり、驚いたり悲しんだり。
そのうち会えたらいいなあとか思ってたんやけどね。残念。どうか、今、安らかでありますように。心から願っています。
theoとは鋭さとポップさが共存する(と個人的には思っている)、メタルフレームが特徴のベルギーの眼鏡フレームブランドです。ずっとずっと憧れつつ、なかなか「コレ!」というフレームに出会えなかったのですが…ついに発見して、購入に至りました。
theoらしいメタルながらも、形は楕円というかけやすさ。それでも縦幅がぐっと狭く、弦の部分もやや下につけたデザインが素敵。そしてとても軽い!
しかし視力がひどく落ちていたため一気に3段階上げとなりました。慣れるまでおうちのみ&慣れてからもしばらくは外歩き時のみの着用になりそうです。
▼今日の感動:昔知った「良い」ものを今経験できる幸せ
いつもいくつか並行して本を読んでいるのですが、今読んでいる一冊に谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』があります。文学部卒業のくせに、恥ずかしながら谷崎作品は一冊も読んだことがありませんでした。どなたかが薦めていらして、それで興味を持ってAmazonのほしい物リストに追加したんだったか、どうだったか…。そこにTwitterのFollowerさんが、クリスマスプレゼントのお返しとしてお年玉的に送ってくださったのでした。
有名な作品なのでちょっと尻込みしていたのですが、読んでみると大変読みやすい。迷いのない文章、だけれども前置きのしっかりした筋立て。建物の描写もシンプルだけれどありありと浮かんできて、さすがとても素敵だなあ、と思って読んでいます。
ふと、とても贅沢な時間を過ごしているように思いました。誰かに強要されるでもなく、読みたいと思った本を経験する幸せ(しかも人に贈ってもらった!)。昔仲違いしたまま転校していった子に大人になってから会いに行ったような、気恥ずかしさと嬉しさもあります。
歴史を学んで名前だけ知っているけれど実際は見たことがないものというものは人生の中でけっこうあると思います。私のように文学もそうですし、あるいは絵画や音楽といったものにもあるでしょう。
もちろん、若い頃からひるまずに何でも経験できれば一番いいのかもしれません。でも、「難しそう」「つまらなさそう」と触れていなかったものが、実は面白かった。この経験が、ちょっと今日は新鮮でとても楽しかったのでした。また何か再会できるかな?
▼あとがき
今日は思いもがけない訃報があり、驚いたり悲しんだり。
そのうち会えたらいいなあとか思ってたんやけどね。残念。どうか、今、安らかでありますように。心から願っています。
2011年12月10日土曜日
2011年12月8日木曜日
2011年12月8日:日記のひな形を決めた日
▼今日の写真:当面読む本3冊
読みたい、読んだことのない本は色々あるのですが、流石に年明け2ヶ月ほど無給であることを考えるとそうそう新しい本を買うわけにもいきません。時期と興味を勘案して、蔵書から写真の3冊を選び出してみました。
読みたい、読んだことのない本は色々あるのですが、流石に年明け2ヶ月ほど無給であることを考えるとそうそう新しい本を買うわけにもいきません。時期と興味を勘案して、蔵書から写真の3冊を選び出してみました。
2011年11月9日水曜日
『親鸞』を読んで働くことについて考えてみた

仕事でお世話になっている方達が『親鸞』文庫版を差し入れてくれました。
おおう…信仰伝記か…と、しばらく食手が伸びなかったのですが、読みはじめたら「これって…社会に生きるひとは、みんな親鸞と同じ苦悩を抱えとるんちゃうのん?」と止まらなくなり一気読みしてしまいました。
少し恣意的にエピソードをピックアップしたあらすじ
色々あって出家することになった親鸞は生来の生真面目さを生かして修行に励むのですが、そのうち「仏とは何か?」という問題に突き当たります。当時の学び舎とも言うべき寺院で弟弟子や師匠この問題について語るも満足のいく答えを得られなかった親鸞はまず環境を変えました。衣食の保証されていた寺を出て野に出ます。
幸いにして、「この人こそ…!」という師匠の元に通って日々を暮らし、様々な人々と交わる中で友や妻を得ます。
しかし、信仰拡大を狙ったトラブルに巻き込まれた結果流罪決定。それでもめげずに新たな地で頑張るぞ、と決意するところで物語は区切りを迎えます。
この構図、現代式に置き換えると
スキルを積むも会社なり仕事内容なりに疑問を持ち退社。
しばらく新たな職を探し、なんとか魅力的な仕事なり師匠なりをみつけて再就職。仲間に恵まれ研鑽したり、結婚して家庭を持ったりしました。
しかしトラブルがあって会社が倒産、あるいは師匠が退職、それでも私の道を進む!と決めた××歳の秋…。
家事担当の方はそれぞれ適宜環境を読み替えていただければと思いますが、どうでしょう。結構ありがちな話になってきていませんか?
働くこと、悩むこと
自分の働きどころというのは、きっといくつになっても悩ましいものなのではないかと思います。このまま主婦業だけ続けていていいんだろうか、とか、就職できるんだろうか、とか。
個人的にも、同じポジションに一定年数いたり、先輩の姿が追えるようになってくるとこういう疑問が噴出してきます。
誰の元で学び、どうやって自分の求めているものを探していくか。
さっくりあらすじを述べた親鸞ですが、彼の場合一喜一憂しつつずーっと悩んでいます。その悩み具合、他にもエピソードがあるにしても先ほどのあらすじが上下巻になる勢い!
それぐらい悩みながらも進めていかないと答えなんて出ないし、出したところでうまくいくとは限らない。だけども「次また頑張ろう」とは、悩みながらも行動していかないとなかなか思えないものです。そういやそうだよなー、と思いながら下巻を閉じた『親鸞』。
私事で恐縮ですが、今ちょっと仕事で壁にぶつかっておるので身につまされました。
なんというか教訓くさい読み方をしてしまいましたが、うにうに悩む主人公が好きな人にはかなりオススメの一作です。
それにしても、なんでこのチョイスで差し入れしてくれたんだろう…謎だわ…。
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